防災

【科学技術が発展していても】地震予知はなぜ難しい?【データの蓄積&非線形性】

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最近は科学技術が発達してきて、台風の予測とかも的中することが多くなってきたよね!
けど、どうして地震予知は難しいんだろう…?

地震予知が可能になったら、それも月単位・週単位での地震予知が可能になったら…地震による被害を最小限に食い止めることができると思います。

近年の科学技術の進歩により、台風の進路予測などは精度が高まってきました。

しかしながら、地震予知は未だ難しいと言えます。
地震予知の難しさはどこにあるのでしょうか?

本記事では、地震予知の難しさについて、モルモットでも分かるように解説していきます!

台風予測の精度が高まった理由

地震予知の難しさを説明する前に、まずはどうして台風予測の精度を高めることができているのかということについて説明します。

近年では台風の進路などの予測が正確に行えるようになってきました。

このような精度が高まった要素はスーパーコンピューターなどの「科学技術の進歩」だけではありません。

ほかにどんな要素があるんだろう?

その他の大きな要素とは、「データの蓄積」です。

気象庁による1981年から2010年までの調査によると、日本には年平均3個の台風が上陸し、全世界で約26個の台風が発生するそうです。

すなわち、年数十個もの台風の軌道データをストックすることができるのです。

台風の軌道データがあればあるほど軌道予測の精度は上がるのは間違いないね!

地震予知が難しい理由①:データの蓄積

それに比べて、地震はどうでしょうか?

大きな地震は数十年、数百年という長いスパンでやってきます。

数十年、数百年に一度しかデータが蓄積されていきません。

台風とは異なり、ストックされている過去のデータの数がとても少ないのです。

確かに、GPSなどの科学技術の発達により、地下で何が起こっているかということは以前よりも分かるようになってきています。

しかしながら、「地下でこのような現象が起こると地震が起きる」といった仕組みを解明するだけのデータがストックされていないのが現状です。

このような要素が、地震予知を難しくしているといえるのです。

確かに、地下で何が起こってるかが分かるだけじゃ地震予知はできないよね…

地震予知が難しい理由②:地震発生メカニズムの非線形性

じゃあ、今後データが蓄積されていったら、地震予知ができるってこと?

データが蓄積されていっても、地震予知には大きな壁が立ちはだかります。

それは、「地震発生メカニズムの非線形性」です。

非線形性…?

いきなり話が難しくなってしまいました。

難しい話はとりあえず抜きにして、みなさんに地震予知の難しさを知ってもらうために、簡単な実験をしてみましょう!

【簡単実験】地震予知の難しさを体感してみよう!

使うものは様々な板状のお菓子。たったこれだけです。

お菓子と地震予知??いったい何の関係があるの?

おせんべいやポテトチップス、板チョコなど可能な限りいろいろ準備してみてください!

実験1:地震発生場所の予測の難しさを知ろう!

初めに、用意した板状のお菓子の両端を持ってください。

僕はまずおせんべいを準備したよ!

今この状態で、そのお菓子に力を加えたら、どこで折れるか想像してみてください。

このおせんべいだったら…だいたいこの辺で折れるかな?

では、実際に両端を持って、力を加えてみてください。

どうですか?その位置を完全に予測するのは難しかったのではないでしょうか?

大体の位置は合ってたけど、完全には難しいね。

地震が発生する位置の予測というのは、まさしくこういったお菓子の折れる位置と同じく、難しいのです。

実験2:地震発生時期の予測の難しさを知ろう!

では、次に先ほどとは異なるお菓子の両端を持って、力を加えていってみてください!

次はポテトチップス!

今度は、そのお菓子が折れるまでにどのくらいの力が必要かを考えながら力を加えてください。

どうでしょう、先ほどのお菓子と比べて、折れるまでに必要な力が違ったのではないでしょうか?

さっきのおせんべいは折るのに結構力が必要だったけど、ポテトチップスはすぐに折れた…!

折れるまでにかかる力は、お菓子の種類だけでなく、そのお菓子のブランドや賞味期限の近さ、個体差によっても異なってきます。

これは地震でいう、それぞれの地盤の性質と全く同じ。

地盤にもそれぞれ固有の材質があります。

水を含むか否か、温度や圧力の違いなどによっても、その破壊が起こるまでにかかる力は異なります。

こういった違いがあるため、一概に同じ破壊モデルが適用できず、地震予知は難しいのです。

地震発生メカニズムの非線形性とは

さて、地震予知の難しさがなんとなく分かっていただけたところで、「地震発生メカニズムの非線形性」について解説します。

非線形について理解するためには、その対義語である線形について理解すると話が早いです。

線形というのは、グラフでいうこんな感じです。

このように、グラフで表した際に直線で表されます。

もし仮にこんな感じで地震が起こるんだったら、その地盤にかかっている力が求まれば、正確に地震予知ができそうじゃない?

しかしながら、現実はそう甘くありません。実際の地盤では、非線形的な振る舞い、すなわちグラフで表した時に直線で表すことができないのです。

これは、ある地震が発生するまでにかかる力のかかり方の一例を表しています。

すごく複雑な振る舞いをしている!

これは別名、応力-ひずみ曲線と呼ばれていて、横軸にひずみの大きさ、縦軸にかかる力(応力)を取っています。

地盤は破壊が起こる前に、ひずみがたまっていきます。

地盤の性質によっても、破壊するひずみ量は異なります。

そのひずみがたまったところで破壊、すなわち地震が発生するのです。

このように、地震は発生するまでに非線形的なメカニズムを経ているため、地震予知は大変難しいのです。

まとめ

本記事の内容をまとめます。

地震予知にはまだまだ時間がかかりそう。
日頃から災害に備えておく必要がありそうだね!
地学系大学院生ブロガー/気象予報士
ちーがくん
地学教育を普及させるために文系コースから高3で理転した大学院生です。大学では地球科学を専攻し、現在は気象系の研究室に所属しています。地学教育の空洞化を食い止めるために、当ブログを運営しています。このブログを通じて、地学教育の実態や、地学の魅力をお伝えしていきます!
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