地学教育 / Earth Science Education

【地学分野初のノーベル賞!】ノーベル地学賞がない理由を徹底解説!

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ちーがくん
ちーがくん
真鍋淑郎さん、ノーベル物理学賞おめでとうございます!
はかせ!遂に地学分野から初めてのノーベル賞が出ましたね!僕らも頑張ってれば、いつかノーベル賞が取れるってことですよ!
はかせ
はかせ
そういうことじゃな。わしも、まだまだノーベル賞を諦めておらんぞ!
ちーがくん
ちーがくん
今回の真鍋さんの研究内容は、地球温暖化予測モデルの発明ですよね?地学の分野なのに、なんでノーベル地学賞じゃなくて物理学賞で受賞したんですか?
はかせ
はかせ
ちーがくん、残念なお知らせじゃ。ノーベル地学賞は存在しないんじゃ。
ちーがくん
ちーがくん
!!!
はかせ
はかせ
今回は、ノーベル地学賞が存在しない理由について解説するぞ。

2021年、真鍋淑郎さんが地学の分野で初めてのノーベル賞を取ったことで話題になりました。

真鍋さんが研究されていたことは、地球温暖化予測モデルの発明

そう、まさしく地学分野です。

ですが、受賞されたのはノーベル物理学賞。ノーベル地学賞ではありません。

本記事では、ノーベル地学賞が存在しない理由について、モルモットたちと一緒に学んでいきましょう!

真鍋淑郎さん 地学分野で初のノーベル賞!

はかせ
はかせ
まずは今回の真鍋さんの研究について再びまとめたぞ。
ちーがくん
ちーがくん
やっぱり、地球温暖化モデルの研究でありながら、地学賞じゃないのが気になります…。

ノーベル賞は全6種!

ちーがくん
ちーがくん
そもそも、ノーベル賞には何種類くらいあるんですか?
はかせ
はかせ
ノーベル賞には、以下の6種類があるぞ。
ちーがくん
ちーがくん
ほんとだ、物理学、化学、医学・生理学があるのに地学だけないですね!
物理・化学・生物まではあるのに、また地学が除外されてる!
はかせ
はかせ
そうなんじゃ。しかし、これは別に、地学のニーズがないから、とかの理由ではないぞ。
ちーがくん
ちーがくん
なんでノーベル地学賞はないんですか?納得できません!
はかせ
はかせ
ノーベル賞設立の歴史や背景を紐解けば、納得いくじゃろう。

ノーベル地学賞がない理由

はかせ
はかせ
ノーベル賞は、ダイナマイトなどを発明したノーベルの遺言によって設立されたんじゃ。
ちーがくん
ちーがくん
遺言…ですか?
はかせ
はかせ
そうじゃ。
ノーベルの遺言は「人類のために最大に貢献した人に贈る賞を作る」というものじゃった。
その中で具体的に指定された賞の項目が、医学・生理学賞、物理学賞、化学賞、平和賞、文学賞だったんじゃ。
ちーがくん
ちーがくん
あー、地学賞はしていされてなかったんですね。
あれ?経済学賞、入ってなくないですか?
はかせ
はかせ
そうなんじゃ。経済学賞は1969年から、新たに追加されたんじゃ。
ちーがくん
ちーがくん
なんで地学賞は入れてもらえなかったんでしょうか?自然災害によっても、ものすごい数の命が失われています!
その自然災害などの研究に一役買えば、人類のために最大に貢献したと言えるのではないですか?
はかせ
はかせ
それは間違いない。しかし、ノーベルが生まれ育ったスウェーデンは、地震や火山噴火、台風などの自然災害がほとんどない国だったんじゃ。
はかせ
はかせ
そのため、ノーベル賞に地学賞がないと考えられておる。
ちーがくん
ちーがくん
そういうことなんですか!
確かに、自然災害がほとんどない国に住んでいたら、地学賞は思い浮かばないかも…

ノーベル地学賞は必要か?

ちーがくん
ちーがくん
はかせ!僕は、ノーベル地学賞が必要だと思ってます!
はかせ
はかせ
どうしてじゃ?
今回の真鍋さんみたいに、地学の分野であってもすごい発明したら、物理学賞なり化学賞なりに分類されるとは思うが…
ちーがくん
ちーがくん
はかせ!僕は昔から漠然とノーベル賞が取りたいなって感じてたんです!
ノーベル賞は科学者だけでなく、みんなにとって憧れの賞なんです!
はかせ
はかせ
ほうほう。
ちーがくん
ちーがくん
科学者を目指す子供たちの中には、僕みたいに漠然とノーベル賞を取りたいなと感じている人も多いはずです。
そんな中で、ノーベル地学賞がないと、ノーベル賞を目指す子供たちはどの分野を志すと思いますか?
はかせ
はかせ
地学分野に進む研究者は少なくなりそうじゃな。
ちーがくん
ちーがくん
そうなんです。地学分野の研究に進む人は少なく、代わりに医学・生理学、物理学や化学などの研究者を目指すでしょう!
そうなると、研究者不足で地学に関する研究も進まなくなってしまうと思うのです!
はかせ
はかせ
なるほどな。

日本政府もノーベル賞受賞者数を基準に科学の進歩度合いを測っている

ちーがくん
ちーがくん
さらに問題なのは、「日本政府もノーベル賞受賞者数を基準に科学の進歩度合いを測っている」ということですよ!
はかせ
はかせ
どういうことじゃ?ノーベル賞受賞者の輩出人数で科学の進歩度合いを測るのは理にかなっていると思うが…
ちーがくん
ちーがくん
日本政府は2001年の科学技術基本計画で、「50年間にノーベル賞受賞者30人程度」を輩出するという目標を定めているみたいなんです。
はかせ
はかせ
国を挙げてノーベル賞受賞者を増やそうとしているんじゃな。
ちーがくん
ちーがくん
そうなんです。結果として、ノーベル賞をいまひとつ見込めない地学分野には、国からの研究費があまり出ないんですよ!
はかせ
はかせ
確かに、わしの研究費は年々削減されておるな。
ちーがくん
ちーがくん
地学に関する研究はますます進まなくなっちゃってるんですよね…。

結果として、研究者の海外流出が止まらない

はかせ
はかせ
研究費を削減された研究者は、研究費を得るためにどうするか分かるか?
ちーがくん
ちーがくん
アルバイトですか?
はかせ
はかせ
それは違うな(笑)
海外へ拠点を移すということなんじゃ。
例えば、先ほどから紹介している真鍋さんは現在、アメリカ国籍を取得され、アメリカで研究をされているんじゃ。
ちーがくん
ちーがくん
えっ、アメリカの方が研究費が高いんですか?
はかせ
はかせ
そうなんじゃ。アメリカは日本に比べ、研究費は桁違いなんじゃよ。
ちーがくん
ちーがくん
そういうことなんですか…。
だから研究をしたいと考えている研究者の海外流出が止まらないんですね。
はかせ
はかせ
そういったことを考えると、ノーベル地学賞があれば、国からもお金が出やすくなるかもしれないな。

ノーベル賞のような憧れとなる賞を日本が主導して作るべき!

ちーがくん
ちーがくん
はかせ!解決策は目に見えてますよ!ノーベル地学賞を作りましょう!
はかせ
はかせ
…とはいっても、自然災害が少ない国もあるんじゃぞ。そのような国はどうしても自然災害への関心が低いんじゃ。
ノーベル地学賞を新たに設立するのは、やはり難しいことだと思うぞ。
ちーがくん
ちーがくん
確かに、ノーベルの死後120年以上経過していますからね…新たな賞の設立は少し考えにくいかもしれないですね…!
はかせ
はかせ
だからこそ、わしが必要だと思うのは、災害大国である日本が主導となって、地学分野の研究を表彰する賞を作るということじゃ。
ちーがくん
ちーがくん
それを作ると、どんなメリットがありますかね?
はかせ
はかせ
それがノーベル賞に並ぶほど注目を浴び、憧れとなる賞になれば、地学分野を志す研究者が増えるんじゃないか?
ちーがくん
ちーがくん
確かに!多くの人が地学分野の研究者を志せば、結果として災害研究を発展させることができるようになるはずですね!
はかせ
はかせ
そうなんじゃ。
災害が多い日本こそ、災害研究の先進国になるべき。
そのためにも、地学分野の研究者の憧れとなる賞が必要だと、わしは考えておるぞ。

まとめ

はかせ
はかせ
今回は、ノーベル地学賞がない理由と、後半にはノーベル地学賞が必要な理由について解説した。後半はかなりわしの個人的な意見が入ってるが、みんなもノーベル地学賞の必要性についてかんがえてみてほしい。
ちーがくん
ちーがくん
ノーベル地学賞を考えることは、地学の未来を考えることにもつながりますね!
みんなで地学の空洞化を食い止めていきましょう!
はかせ!今日はありがとうございました!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

地学系大学院生ブロガー/気象予報士
ちーがくん
地学教育を普及させるために文系コースから高3で理転した大学院生です。大学では地球科学を専攻し、現在は気象系の研究室に所属しています。地学教育の空洞化を食い止めるために、当ブログを運営しています。このブログを通じて、地学教育の実態や、地学の魅力をお伝えしていきます!
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